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南大門

法隆寺へのアプローチとなっている約200mの松並木を進むと、ほどなく正面に木造瓦屋根の大きな門が見えてきます。

これが、法隆寺の総門、南大門です。門の前に立つと、遠くに注文と五重塔が見え、いよいよ法隆寺見学だなという気分をいやおうなく高めてくれます。

南大門


飛鳥時代の建築物を多くの残す法隆寺では珍しく、南大門は室町時代、1438年(永享10年)建造です。

というのも、現在の南大門は別の門を移築改造したものだからで、もともとの南大門は現在の門の50mほど奧にあったと言われます。移築改造の原因は、もともとの門の焼失です。

旧南大門の焼失は、お寺には似合わない、僧侶間の対立と権力争いが原因でした。1435年(永享7年)1月11日の夜、対立が激化した僧侶どうしの闘いがエスカレートし、門に火が移って焼け落ちたと言われます。

室町時代の再建とはいえ、南大門は国宝の指定を受けています。その理由は、やはり独特の見事な作りにあります。正面の広さはおよそ3間。側面は2間で、前後に4本ずつ、計8本の柱が立っています。
構造は、上部が切り妻造り、下部が四方吹き下ろしとなる入母屋造り。本瓦葺きの屋根の曲線が実に美しく、全体に優美さをかもしだす美術品のような門です。

門の左右には、大垣と呼ばれる築地塀が鳥の羽を広げたようにのびています。
この築地塀もまた、最初は平安時代に造られ、江戸時代に再建されたものといわれます。
明治の廃仏毀釈の時期、時の政府はこの築地塀の取り壊しを真剣に検討していたといいます。