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大宝蔵院

法隆寺の寺域に並ぶ多数の建物のなかで最も新しくできたものが、境内の一番北寄りにある大宝蔵院です。

1998年(平成10年)に落成したここは、伽藍というよりは博物館。法隆寺にあってはかつての大宝蔵殿に代わる施設で、仏像をはじめ厨子や舞楽面などの工芸品を含む寺宝が多数展示されています。


大宝蔵院

大宝蔵院全体は西と東の2つの宝蔵、そして北側の部分にある百済観音堂で構成されています。

ここで見逃してはいけないのは、まずは百済観音堂内に安置された国宝百済観音(観音菩薩立像)。

飛鳥時代作のこの仏像は、細身で九頭身の外形が独特であるだけでなく、日本における木造仏像彫刻の最古に近い位置を占める貴重な像。
法隆寺がこの仏像を飾るだけの目的で百済観音堂を建立したことからも、その貴重さが想像できるでしょう。

 東西の宝蔵では、国宝観音菩薩立像(九面観音)や国宝観音菩薩立像(夢違観音)にも注目です。ことに、香木白檀を用い、彩色を施さず白木で仕上げた九面観音は、他ではほとんど見ることのできない独特の技巧的な仏像で、必見の価値があります。

飛鳥時代の作である国宝玉虫厨子、奈良時代の作である国宝橘夫人厨子の2つの厨子をはじめ、仏鉢や水瓶、香水壺、さらには伎楽や舞楽で用いられた各種の面などの工芸品も必見。

面の中には耳や舌、顎が動くものもあり、見ていて愉しいと同時に、古代の人々の造形感覚の見事さや美意識をダイレクトに感じることができます。

大宝蔵院では、1949年(昭和24年)の金堂の火災の際、たまたま取り外されて別の場所に保管されていたために難をまぬがれた20面の飛天図の一部も公開されています。