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金堂

西院伽藍の中心となる施設、法隆寺 金堂。本尊がまつられた寺として最も重要な建物であると同時に、世界に現存する木造建築の中でも最古にあたる、由緒ある仏堂です。

全体の形はほぼ正方形に近く、二層の入母屋造りの上層の屋根は2方向に、下層の屋根は4方向へ勾配しているさまは、美しいの一言です。上層と下層をつなぐ支柱に巻き付けられた龍の彫り物も、荘厳な雰囲気をかもしだしています。

金堂もまた再建された建物です。

607年(推古15年)の創建当時の建物は、670年(天智9年)に火災で焼失。
ただし、大講堂などとは違い、法隆寺の中心となる建物だけに再建は早かったと言われます。

金堂と五重塔


建築物として目を引くのが、エンタシスの柱です。エンタシスとは、円柱の下の部分から上の部分にかけて徐々に細くなっていく様式のことです。

古代ギリシャ発祥のこの建築方法は、中国を経て、日本に渡来。1本1本の柱がまさに歴史のロマンですね。

金堂の内部には、法隆寺の本尊、薬師如来を中心とする釈迦三尊像が安置されています。
本尊の光背の裏には銘文が記されていて、622年(推古30年)に物故した聖徳太子の冥福を祈って、太子と等身大で作られた仏像であることがわかります。仏像の完成は、翌623年(推古31年)です。

この薬師如来は、他の多くの仏像と比べても独特です。特に特徴的なのが、アルカイックスマイルと呼ばれる、穏やかに笑みをたたえた表情。

薬師如来は広く人々の病気を治して延命すると同時に、精神的な苦痛をも取り除く如来で、アルカイックスマイルはその優しさの象徴と言ってもいいかもしれません。