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聖霊院

金堂と五重塔を囲む回廊の東隣にある聖霊院は、法隆寺の中でも特別な場所です。というのも、ここは法隆寺を創建した聖徳太子をまつった伽藍だからです。

1284年(弘安7年)に建て替えられたという神殿づくりの建物の中には、黒漆で仕上げた大きな厨子が3つ造り付けてあります。そのうち真ん中の厨子におさめられているのが、聖徳太子像。

聖霊院


45歳のときの姿を表したものと言われますが、重要な神事の際に用いる冠、巾子冠(こじかん)を頭にいただき、儀式用の笏(細長い板)を両手で抱く束帯姿は、表情1つとっても静謐かつ威厳に満ちていて、見る者に深い感動を与えます。

太子像を納めた厨子を左右からはさむ2つの厨子には、太子の長男山背大兄王(やましろのおおえおう)や弟の殖栗王(えぐりおう)、太子の師である高句麗の僧、慧慈(えじ)法師など高貴な人々の像がおさめてありますが、こちらは太子像とはうってかわって表情豊か。穏やかな笑顔が、見る者の心を癒します。

ただし、残念ながら、平常、これらの厨子の扉は固く閉ざされていて、誰も中を見ることはできません。扉が開かれるのは、太子の命日である3月22日からの3日間だけ。
聖徳太子に強い関心を持つ人なら、ぜひともこの3日間に訪れたいものです。

聖霊院の前では、鏡池が水をたたえています。明治の昔の頃はこの池のほとりに茶店があり、ここで一休憩した正岡子規が即興で詠んだのが、あの有名な俳句です。
「柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺」