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法隆寺 五重塔

古代インドで仏舎利(釈迦の遺骨)を祀るために造られ始めた塔を、仏塔といいます。

五重塔は、その仏塔の1形式。楼閣形状の仏塔のうち、五重の屋根を持つものをいいます。

京都醍醐寺、奈良興福寺、広島明王院など、国宝に指定されている木造の五重塔は全国に11ありますが、その中でも群を抜いて長い歴史を持つのが、法隆寺の五重塔です。

法隆寺五重塔


創建は金堂などと同じく607年(推古15年)。天高くそそり立つ塔は美しく迫力たっぷりで、西院伽藍のシンボルとも言えます。

五重塔を構成する5つの楼閣を、下から地(基礎)、水(塔身)、火(笠)、風(請花)、空(宝珠)といいます。5層それぞれは独自の世界(思想)を示し、仏教的な宇宙観を表しています。

現存する木造建築の五重塔としては世界最古のものである法隆寺五重塔は、初重から五重までの屋根の逓減率(大きさの減少する率)が高く設計されていることが大きな特色です。五重目の屋根の一辺は、初重の屋根のおよそ半分のサイズです。塔身もまた、下層から上層へ行くにつれ、細くなっています。



初層と最上層を比べると、最上層はこれまた初層の半分。屋根とのバランスも見事です。
一番下の初重の内部には、東面・西面・南面・北面の4つの方角それぞれに塔本四面具と呼ばれる粘土で作られた群像を安置されています。

文殊菩薩と維摩居士の問答、釈迦の涅槃、分舎利(釈尊の遺骨の分配)、弥勒の浄土が、それぞれの像によって表されています。かつては五重塔の内部にも壁画が描かれていましたが、漆喰などが原因で剥落。現在は他の場所で保管されています。

五重塔は全体を心柱が貫く構造になっていますが、その心柱を支えるのが地下1.5mの深さにある大礎石。礎石の上部には舎利容器などが納められており、舎利容器の中には釈迦の遺骨が6粒納められています。